マイ・ゴール 自分の目標を見つける本(リチャード・H・モリタ)

マイ・ゴール 「自分の目標」を見つける本 リチャード・H・モリタ (2001年7月) イーハトーヴ出版
 


 
 
 

1
自分らしさを生かして、一生情熱を注ぐことができる目標に生きられたなら、それは人生の成功といえる。心の底から納得できる「マイ・ゴール」を設定する。それが、成功を手にする最も有効な方法なのだ。
 

ちょっと考えてほしい。自分らしく生きようにも何が本当の自分らしさなのかがわからなければ、自分らしく生きようがないではないか。成功もおなじで、成功しようにも、何が自分の「本当の目標」なのかわからないなら、成功への努力は継続できない、成功のしようがない。
 

成功の秘訣とは、個人主義そのものと言っても過言ではない。言葉が難しく感じるなら。成功する秘訣は「個人を一番大切にすること」と考えていただきたい。個性から生まれる魅力が、自分に「自信」を持たせ、”自分らしくあり続ける” ことが成功や豊かさをもたらすのだ。
 
 
 
 
 
2
「本当の目標」とは、個人がこれだけは絶対に達成したいと思えるもので、その目標が自分の才能や能力に合っているものである。それは、実現可能な目標であり、自分の「やりたいこと」と「できること」を一致させた目標でもある。
 

この目標を設定したならば、個人の能力がどんどん自然に引き出され、自分が成功する星の下に生まれたかのごとく、成功を運命のように感じられる人生を送ることができる。そしてこの「成功へと導く目標」のことを、私たちは「リアル・ゴール」と呼んでいる。
 

「本当の目標さえ設定できれば、必ず成功できる。目標設定とは、成功の秘訣の一部分ではなく、すべてであるといって過言ではない」。これが私たちの結論である。この結論は、1998年から、アメリカのオリソン・マーデン財団を中心として開始された研究の賜物である。
 
 
 
 
 
3
今から100年前、『サクセス・マガジン』のインタビューで、記者に対してエジソンは次のように答えている。

「私は1パーセントのインスピレーションがなければ、99パーセントの努力は無駄になると言ったのに、世間は私の言葉を勝手に都合のよい美談に仕立て上げ、私を努力の人と美化し、努力の重要性だけを成功の秘訣と勘ちがいさせている」。
 

「私は近所で “ナゼナゼ坊や” と呼ばれていた。私が発明家という道を選んだのは、”ナゼ” の延長にある答えをインスピレーションによって解決した喜びを持ち続けられたからだ。インスピレーションは私の才能であり喜びなんだよ」。
 

成功は「何を、どのようにやるか」にかかっている。「どのようにやるか」が惜しみない努力とするならば、問題は「何を」に相当する、努力の対象である。エジソンにとって「何を」はインスピレーションであり発明である。チャップリンは喜劇の道だった。
 
 
 
 

4
自分への認識の深さが、日常の中で、自分を見つめる習慣を持ち、自分を追及し、人生を考えているからこそ、すばらしい人生の選択を成功させたのだ。
 

人生で「本当の目標」を持っている人は3%で、目標を持っていないひとは97%であり、成功する人も3%、成功できない人は97%という調査結果がある。この数字は単なる偶然の一致ではない。
 

成功する人は「本当の自分(リアル・セルフ)」と「本当の目標(リアル・ゴール)」を、しっかり認識し明確に表現できるということだ。
 
 
 
 

5
多くの人は、本当に欲しいもの、本当にやりたいことを “考えている” のではなく、”選んでいる” だけだろう。コマーシャルによってショーケースに並べられた「目標」に代わる品物を、まるでウィンドウショッピングをするかのように選んでいるだけだ。
 

失敗や逆境という痛みは、その人がその教訓を必要としているときにやってくるものだ。病気の初期症状と同じく、自分に何が必要なのかを教えてくれる信号である。これをチャンスと考え、しっかりと治療ができれば、失敗は成功の母となる。
 

だからこそ、この時代に生きる人は、しつこいほど「何がやりたいのか」と自分に問い続け、本当の自分を知り、本当の目標を見つけなければならない。そうしなければ、この時代のあらゆる便利さは、人を「依存症」にさせてしまうだろう。
 
 
 
 

6
子供のころから、ハンフリー・ボガードの熱烈なファンだった。ボガードになることが目標だった。煙草の吸い方や帽子のかぶり方、話し方から歩き方まで彼の真似をした。僕はボガードになろうとしてダスティン・ホフマンになったんだ(ダスティン・ホフマン)。
 

アメリカでは親が子供に対し、成功者やスーパースターを語るとき「彼らもお前と同じだったんだ。決して特別な人ではないんだよ」と教えている。アメリカでは成功者を心から讃えることも習慣化されている。
 

数年前、マンハッタンのレストランで食事をしているとホイットニー・ヒューストンが入ってきた。どこからともなく拍手がわき起こり、最後には全員が立ち上がって拍手を送った。彼女の誕生日だったのではない、純粋に成功を讃えているのだ。
 
 
 
 
 
7
あなたが、どんなに多くの本を読んだとしても、「本当のあなた」や「あなたの本当の目標」は他人の書いた本の中には書かれていない。それは自分の中にあり、自分の過去を辿って行く中で発見できる。
 

私は、人間は森のようなものだと思う。地球の歴史の中で、最も複雑な思考を持つ生物が人なのだ。人という森の中には樹木だけでなくあらゆる生物が棲み、共存している。森を形成する大地があなた、そこに棲む生物の一つ一つがあなたの記憶なのだ。
 

自分がいつも歩いている森の中で、忘れかけていた大きな樹を思い出してみよう。その大きな樹は、子供の頃あなたに影響を与えた恩師かもしれない。川に横たわるナースウッド(微生物やコケ、昆虫が棲みついた朽ちた大木)は、幼いあなたをかわいがってくれた祖母かもしれない。
 
 
 
 

8
忘れていたことを思いだすことは、新しい知識より大切なことだ。昔読んだ本を、時間がたってから読み返すと、新しい解釈ができる。それと同じように、過去の体験を、特に忘れてしまっていた体験を思い出すと、そこに新しい解釈が生まれるものである。
 

積極的な自分、消極的な自分、自信のある自分、自信のない自分など、あげればキリがないほど、まったく両極端ともいえる多くの性格、つまり多面性を持っている。占いや性格分析が当たっているように思われるのは、性格が多面的であるということを証明しているといえる。
 

本当の自分を知ることができるかは、自分についての記憶をどれだけ再生できるかにかかっている。そうやって再生した記憶の全てが「本当の自分」なのだ。そして「本当の目標」は「本当の自分」を知ってこそ設定できる。「本当の自分」に根ざした目標は「本当に達成したい目標」になる。