道は開ける(デール・カーネギー)

『道は開ける』 デール・カーネギー(1948年)(原題:How to Stop Worrying and Start Living)
 


 
 
 

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我々は一度に一つの事しか出来ないし、砂時計の砂がくびれた部分を通るように、ゆっくりと、一定の速度で仕事を片づけるしか手はない。一度に一粒の砂、一度に一つの仕事。
 

小さな子どもは「大きくなったら」と口にする。大きくなったこどもは「大人になったら」と言う。大人になれば「結婚したら」と言う。結婚したら「退職したら」とくる。どういうわけか、すべてを取り逃がしてしまった。
 

昨日のジャムをあれこれ考えたり、明日のジャムについて悩んだりしている。きょうのジャムをいま、パンに分厚く塗れ。
 
 
 
 

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無数の爆雷が15メートルと離れていない場所で炸裂していた。私は恐ろしさで息が止まる思いだった。高温の艦内で、恐怖で背筋が寒くなり毛皮のジャケットを着た。それでもゾクゾクと震えた。
 

私は誓った。もし再び太陽や月を拝むことが出来たら、もう決して悩んだりはすまいと。潜水艦内の恐怖の15時間の間に、人間の生き方に関して大学四年間で学びえたものより多くのものを悟った。
 

事実を直視するんだ!悩むのをやめなさい!そして、何かをしてみることです。
 
 
 
 

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私は帽子を取って挨拶すると、女の子に笑われはしまいかと悩んだ。結婚してくれる女の子などいないのではないかと心配した。結婚したら妻とどんな話をすればよいのか気が気ではなかった。
 

どうすればよいのだ?畑を耕しながら、私は長い時間、この大地を震わすような問題に頭を悩ませていた。年月が経つにつれて、私は徐々に悩んでいたことの99%は決して起こらないことを知った。
 

周囲の条件だけで人間の幸福や不幸が決まるわけではない。私たちの感情を左右するのは、周囲の条件に対する(自身の)反応である。キリストは「天国はあなたがたの中にある」と説いた。これは地獄についても同様である。
 
 
 
 

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人が事物や他人に対する考え方を変えると、自分に対する事物や他人の態度が変わってくることを発見するだろう。自分の考え方を根本的に変えると、その結果、生活の外的条件が急変してしまうのに驚くだろう。ジェームズ・アレン 
 

私が今日これから会おうとしているのは、おしゃべりで、利己的で自己中心的で、恩知らずの人間どもだ。だが、私は別に驚きもせず、困ってもいない。そんな連中のいない世界など想像できないのだから。マルクス・アウレリウス
 

皆さんはこの世で何かしら新しさを持っている。これを喜ぶべきだ。自然が与えてくれたものを最大限に活用すべきである。
 
 
 
 

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蹴飛ばされたり、非難されたりしたとき、相手は優越感を味わおうとしていることが少なくない。それはしばしば、あなたが何かの業績を上げており、他人から注目されていることを意味している。
 

私は一般の人々が他人のことなど気にもかけないこと、他人の評判などには無関心であることを知っている。人間は朝も昼も、そして夜中の12時過ぎまで、絶えず自分のことだけを考えている。
 

決心することで即座に感情を変えることは出来ないが、行動を変えることは可能だ。そして、行動を変えれば、感情のほうも自然に変わるだろう。 
 
 
 
 

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自分の心の中で正しいと信じていることをすればよろしい。しても悪口を言われ、しなくても悪口を言われる。どちらにしても批判を逃れることはできない。エリノア・ルーズヴェルト
  

陸軍長官スタントンはリンカーンを馬鹿野郎と罵倒した。「スタントンが馬鹿野郎と言うのなら私は馬鹿野郎なのだろう。奴の言うことはほとんど間違っていない。どれちょっと向こうへ行って自分で確かめてこよう」。リンカーンはスタントンのところへ出かけて納得し、命令を取り消した。
 

アインシュタインだって自分の結論は回数にして99%誤っていたと告白しているくらいだから、この非難は当たっているかもしれない。そうだとしたら、むしろ感謝すべきだ。そして、それを有効に役立てるように努めるべきだ。
 
 
 
 

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あなたは両眼を十億ドルで手放す気があるだろうか?あなたの両足を何かと交換したいと思うだろうか?両手は?聴覚は?子供は?家族は?あなたの財産を合計してみよう。そうすれば納得できるはずだ。たとえロックフェラー、フォード、モルガン、という三大財閥の金塊をすべて積まれても、自分の持ち物を売り払う気にはならないだろう。
 

われわれは自分に備わっているものをほとんど顧慮せずにいつも欠けているものについて考える。ショーペン・ハウエル
 

人間は心はずませながら何か興味深いことをしていると、めったに疲れない。