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ゴルフの品格

『ゴルフの品格』 神田恵介 幻冬舎 2017年07月
 
 
アマチュアゴルファーであればスイングは必ずしも一定していないし、故にスコアはその日の調子次第、そして、フォームをいろいろ修正したりしながらドツボにはまっていく。こういう(私のような)人は多いのではないか。

この本で役に立つのは、ボールが飛ぶ「5つの法則」だろう。ボールが飛ぶ「5つの法則」を理解するということはつまり、その日の自分のボールの飛び方を見て、自分のフォームの修正点がわかるということだ。答えは飛んでいくボールの中にあるということ。

著者はもと霞が関の国家公務員という。MOF担(大蔵省担当)とか国会担当という激務を強いられる職をこなしながら、役人としてゴルフと仕事を両立させる。そして引退後のために「ゴルフインストラクター」の資格をとる。

このゴルフを中心としたライフ・スタイルは、「人生100年時代を生きるゴルフ好きの人々」(笑)にとってはたいへん参考になるかもしれない、と思うのだ。
 
 

 
・2007年発行の同著者による『月イチゴルフの品格』とほぼ同内容
 
 
 
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ゴルフのコースは18ホール分かれ、それぞれ違うレイアウトで造られています。単純なホ-ルばかりではすぐに飽きてしまいます。それぞれがあるがままの自然で、歴史を感じ、優雅で、戦略性に富み、そして時に、プレーヤーが自分の筋書きにない思いがけない経験ができるコースが名門といわるコースです。
 

ゴルフのプレーでは1打1打の結果に反応して感情の変化が起こるメンタルな一面もあります。運不運もあり、それによってゲームの流れが変わるときもあります。そういう思わぬ出来事に対しても冷静に対処するのが、ゴルフをよく知った、ゴルフが上手いといわれるゴルファーです。
 

何が起こるかわからないのがゴルフですから、OBに打ち込んでもクラブのせいにしない、愚痴など言うのはもってのほかです。突発的な出来事も想定の範囲内とし、次の打開策を考える。意に反する出来事が起こったからといって、都度、冷静さを失っていては品格あるゴルファーとはいえません。
 
 
 
 

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ゴルフボールというのは、自然界の条件を同一とすれば、単純に物理的法則に従って飛んでいきます。打たれたゴルフボールは「打たれた時のインパクトの状態」によって、右へ飛んだり左へ飛んだり、曲がったりするものなのです。そこに法則が生まれてきます。
 

ゴルフボールを飛ばす時のクラブヘッドがボールに当たる瞬間には次の5つのことがあります。

クラブヘッドのスピード(法則1)

打点の正確さ(法則2)

クラブヘッドの軌道(法則3)

フェイスの向き(法則4)

打ち込み角度(法則5)

これをゴルフボール飛球法則といいます。
 

この5つの法則を頭に叩き込んで練習をし、コースに出ると理論の上ではシングル間違いなしです。理論のないところに上達はあり得ません。無意味な練習はしないほうがましです。この5つの法則をしっかり理解してください。サラリーマンは頭が武器なのです。
 
 
 
 

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<法則1>ヘッドスピード
ヘッドスピ―ドを速くするには、腕を速く振るのではなく、ゴルフクラブのヘッドスピードを速くすることです。ヘッドを速くするためには、クラブを振るときの力の入れ方、入れ具合、振り方をどうするかです。
 

まず、左腕をしっかり意識し、真っすぐに伸ばして構えます。グリップは同じく左手の小指、薬指、中指の2本でしっかり持ち、その他の指を軽く添えるだけにします。肩や右腕などはリラックスさせます。そして、腕とゴルフクラブの接点であるグリップを支点にして、振り子のように振ります。
 

腕の動きは左腕リードで、脇の下をしっかり締めて振り下ろします。当たる直前(体の正面にグリップがきたとき)腕の動きは止め(そんな気持ち)、右肩を前に出さず、後方(右)に残すようにし、グリップを支点にクラブヘッドを先行させます。腕の振りとシャフトの振りの二重の振り子です。
 
 
 
 

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<法則3>ヘッドの軌道
「止まっているボールを叩くのなんか簡単じゃないか」という人もいるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。右に左に、時には白杭の方向に向かっていきます。
ボールの行く先は、ボールと目標を結んだ線(ターゲットライン)に対してゴルフクラブが、どのように振られるかによって決まります。
 

ボールはターゲットラインにありますが、そこをクラブヘッドがどのような軌道で通過するかで飛び出す方向がきまります。この軌道は、大まかに言って3つあります。
 

①ゴルフのクラブヘッドが打つ人の内側(イン)から入ってそしてまた内側(イン)に戻る場合。
②内側(イン)から入りそのまま外側(アウト)に向かう場合。
③外側(アウト)から入ってそのまま内側(イン)に向かう場合。
 

①をインサイドイン(スクエア打法)と言い、正しく目標に向かってボールは真っすぐ飛び出します。②をインサイドアウト(プッシュ)と言い、ボールは右に飛び出します。③はアウトサイドイン(引っかけ)と言い、ボールは左に飛び出します。ボールは、クラブが振られる方向に飛んでいくのです。
 
 
 
 

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ゴルフでは「他人の権利を認識し、尊重しなければならない」と言われます。ゴルフのエチケットは単に上品にプレーすることではなく、それを守らないと他の人のプレーの妨げになり、時には身に危険を及ぼすようなことにもなりかねないのです。プレーの安全を守るのがエチケットだ、と言ってもよいでしょう。
 

よく「この人に最初にゴルフを教えたのは誰だろう」と思うことがあります。誰でもが最初は無知なのです。その人に最初に教えた人の教育が問題です。
 

ゴルフとは、「ただボールを転がして穴にいれるゲーム」ではなく「エチケットを重んじる格式の高いスポーツである」ということを最初に教えないから、品格のないゴルファーが多くなるのです。
 

スロープレーも、一旦、フェアウェーに出るとプレーはマイペースでできるので、誰かが最初に教えておかないと「どこにも誰にも悪いことをした覚えがない」のでやっかいなのです。「鉄は熱いうちに打て」と言いますし、「雀百まで踊り忘れず」ともいいます。ゴルフも日頃のライフスタイルと同じです。
 
 
 
 

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あるプロゴルフツアーでの話。グリーン上でプレーヤーが打つ構えに入り、ギャラリーがシーンとなった。なかなか打たない。そのうち、おもむろに腰を伸ばし打つのをやめた。そして辺りを見回し「だれかが息をしている」とギャラリーの方をにらみつけた。というエピソードがあります。
 

ゴルフはメンタルなゲームと言われているように、精神的要素の強いスポーツです。打つ構えをした時はボールに対して精神を集中させますので、そばで動いたり、ぺちゃくちゃしゃべられたりすると気になって打ちにくいものなのです。
 

ゴルフではボールがカップから遠い順番に打ちますが、それぞれ人が打つ構えをした時は、歩くのをやめ、打ったボールがどちらに飛んでいったか、ボールの行方をよく見ておきましょう。ボールをなくさないためにも、どの辺りに落ちたかをみるのもお互いさまです。

各人のボールの行方を互いに見ることで、プレー全体を把握でき、相手が何打叩いているかも確認できます。
 
 
 
 

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「仕事ができる人が必ずしもゴルフが上手いとは限らない。しかし、ゴルフが上手い人は仕事もできる」、先輩の言葉です。これは当たっていると思います。なぜか。ゴルフに限らず、いろんな趣味に打ち込み、その粋を作り上げた人は、その粋になるために、それなりの道を踏んできているのです。
 

ゴルフでは、飛ばす技術、寄せて入れる技術、素早く判断する能力、危機管理など総合的なゴルフセンスを磨いてゴルフ上手と言われるのです。この粋まで達するには、それなりの創意と新しい事への挑戦とその実行力があったからできたのです。
 

ゴルフで粋に達している人は、それに到達する手法・方法を経験より修得しています。仕事の上でもゴルフが上手くなったその手法・方法を活用すれば、どんなことでもうまくできます。ゴルフでなくてもいいのですが、趣味を自分のものとして粋に達するまで修練している人は、皆同じです。
 
 
 
 

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いろいろな魅力を持っているのがゴルフです。そこであらためて、コルフの特性をまとめておきましょう。
 

①他のボールゲームと違い審判不在のゲームである(公正の理念)。
 
 
②自然と親しむスポーツであるとともに自然との闘いのスポーツである(あるがままの原則)。
 

③ゴルフは運動強度のそう厳しくない心技体のバランスが取れたスポーツである(バランス性)。
 

④技術的に奥行きがあり球趣のつきない継続性のあるスポーツである(技術性)。
 

⑤ハンディ制があり力量差があっても対等に戦えるスポーツである(競技性)。
 

⑥仲間とともに気軽に楽しめ社交性のあるスポーツである(社交性)。⑦余暇活用、レジャー、健康、体力アップ、心身のリフレッシュの手段としても有用なスポーツである(生涯スポーツ)。